ツイッターにあげたやつをちょっと加筆修正したもの。
「シグ!」
「なにこれ」
お店の中で、どどん、とアミティが見せてきたのは寝てる青毛のひつじのぬいぐるみ。
そのぬいぐるみはぐっすりと、幸せそうに眠っている表情をしている。
アミティ曰く、「シグに似合うかなーと思って」とのこと。
「…そんなに似てる?」
「似てるよー、気づいたらいつの間にか寝てたりするし」
そう?と聞くと、前の授業の時を例に出された。確かに知らない間に寝てた。図星だ。
でも今のはあんまりポジティブな例じゃないし、少し胸にグサリと来たから、ちょっと仕返し。
「それならアミティだって、このひつじに似てる気がする」
と、近くにあったピンクの毛の同じ表情のひつじを見せて反論してみると、
「似てる…のかな?」と首をかしげる。
「あたしはシグみたいには寝たりしないけど…」とアミティは言う。
確かにそうなんだけど、腑に落ちない。何か似てる気がするんだけれど。
何かが似ている。何が似ているんだろう。 うーん……
「…雰囲気とか?」
口から零れた当てずっぽう。
でもそれは、不思議と自分の中で納得できるものだった。
「ふわふわしてて、幸せそう」
「あたしも?」
頷くと、アミティはえへへと照れ笑い。その表情を見て、おぼろげなイメージが確信に変わった。
やっぱりそうだ。この優しくて柔らかくて、ふわっとした感じ。
微睡むくらいに気持ち良くて、この眠れるひつじのぬいぐるみとそっくりだ。
「アミティ、これあげるね」
「それじゃああたしもあげる!」
手に持ったひつじを交換。ピンクのひつじがアミティの手に、青いひつじがこの手に渡る。
「確かに…こうしてみると、あたしととっても似てるかも!」
「ふふふっ、これ可愛い」
「えいっ」
「やったなー。それっ」
「ふあっ!?お口は反則だよー!」
それからは交換したひつじで握手したり、相手の口にちゅっとくっつけてみたり。
飽きることのない時間が何時間も続いた。
ちなみにこのひつじのぬいぐるみをもらってからというもの、
眠りが余計に深くなってしまったのは秘密の話だ。
おしまい