久々に書いた上に寝ぼけながらだからクオリティとか知らない!
自分でも何書いてんのかわかんない!山とオチと意味が迷子!
ついでに書きたい事を詰めまくってたらオムニバスみたいな形式になっちゃった!
それでもよろしいというのなら、どうぞ。
(あまりに頭が回らないので後で修正入れます)
夜の十時。外は暗闇、街頭のイルミネーションに魅了されていた人だかりも徐々に去り始めた頃。
学校の校門に、ポツンと佇む影が一つ。
しばらくすると、そこに歩み寄る影がもう一つ。
「アミティ、おまたせ」
「シグ!待ってたよ~」
佇んでいた影は飛び上がり、もう一つの影にぴったりくっつく。
それは真っ赤なサンタクロースの衣装に身を包んだ、アミティとシグであった。
プリンプでは毎年何人かの子供がサンタのお仕事を任されるという習慣がある。
サンタ役の子供がどうやって決められているか、プレゼントはどこから運ばれているか、
などといった不明な点は無数に存在するものの、
とりあえずは「サンタさんのお手伝い」という形で成り立っているらしい。
この二人はどうやら、その今年のサンタさんとして選ばれたようだ。
「シグ、ちゃんと準備してきた?」
「だいじょうぶ。アミティは忘れ物、ない?」
「大丈夫!何度も家の中で確かめてきたもん!・・・けど、ちょっと自信がなくなってきちゃった」
「ふふふふっ・・・。一緒に忘れ物のチェックしよっか」
「うんっ」
買ったプレゼントをまとめたメモ帳と、大きなプレゼントの袋を見比べながら、何度も何度も確かめる。
そして数分後。
「・・・。よしっ!!」
「アミティも大丈夫だった?」
「バッチリ!!おかげで心配も吹き飛んだよ!ありがとう、シグ!」
「どういたしまして。それじゃあ行こう」
「うん!二人でサンタさんのお仕事、頑張るぞーー!」
「おーーー」
こうして、笑顔いっぱい、やる気いっぱいの二人の、プレゼント配りの旅が始まった。
地図を見て、魔導具の万能鍵で家に侵入、起こさないように良い子の枕元や靴下にプレゼントを置くだけ。
一軒あたりのお仕事は簡単だ。
プレゼントを間違えそうになることは何度かあったが、そこはお互いがお互いをよく見てカバーした。
「ねえねえ・・・さっきのプレゼント、間違ってないよね・・・
あたし、ドキドキしてあまりよく確認してなかったよ・・」
「だいじょーぶ。ちゃんと見てた」
「ありがと。一人で居ると不安だけど二人だと安心だね!」
「どういたしまして」
あたしたち、いいコンビだね!とはしゃぎながらハイタッチする二人。しかし。
「この勢いだと、思ったより早く終わるんじゃない?シグ、地図見せてー」
「はい 今ここまで配り終えた」
「えーっと、ここまでかぁ・・・・それで、残りがこのくらい・・・うそ!?」
さっきまでるんるん気分で笑っていた少女の顔が硬直する。
「・・まだこれだけ?6分の1くらい、だよね?」
「だいぶ回ったつもりだけど、そうみたい」
「今プレゼントを配り始めてどのくらい経ってるの?」
「1時間ちょっと」
「どうしよう・・」
プリンプの広さを甘く見ていた、と彼女は溜め息を一つつく。
そして胸の内側で焦燥が走る。
「空が明るくなり始める前に終わらせないといけないのに・・この調子だとギリギリだよ!急がなきゃ!」
「待って」
焦る少女の右腕を、大きな左手が引き止める。
「だいじょうぶ」
「でも・・」
「ギリギリでも間に合えばいい。がんばろ」
「えへへ・・ごめんね、焦っちゃった」
「アミティにはよくあること。もう慣れた」
「そ、そんなにいつも慌ててるかなぁ・・・」
「ひみつ。行こう」
「またひみつー?仕方ないな~」
気を取り直して、二人は再び常闇の街を歩き始める。
満月が昇りきり、やんわりと降下を始めた頃。
二人は一つずつ確実に、プレゼントを配り続ける。
丁寧に、心を込めて。眠れる良い子に「メリークリスマス」の一言を告げながら。
区切りよくいくつかの住宅街の家を全て回ったところで、二人はベンチに座って一息つく。
「ふぅ・・・疲れたねー」
「けど荷物、少し軽くなってきた」
気づくとみんなのプレゼントが入っていた袋は最初と比べてそこそこ小さく軽く、
両手を使わないと持てなかったのが片手だけで普通に持てる程度になっていた。
「うんうん、だいぶ軽い!この調子だと夜明けまでには終わりそうだね!」
「じゅんちょーじゅんちょー」
「ねえシグ、どのくらい休む?」
「何分でもいい」
「ちょっと疲れちゃったから横になりたいんだけどー」
「寝るからだめ」
「だよね・・・」
アミティはそんなことを言いながら、靴を脱いで足をほぐしていた。
「足くじいた?」
「ううん、ちょっと足をつりそうになっただけ。体力にはそこそこ自信はあったんだけどなー・・」
「ふーん・・」
シグはおもむろにアミティの荷物を持った。
「えっ!?まだそんなに疲れてないから大丈夫だよ!」
「無理はだめ」
「シグは大丈夫なの?」
「こっちはまだまだ体力があるから大丈夫。
それに、アミティは"笑顔で"子供たちにプレゼントを配るっていう仕事があるから、
元気はたくさん残しておいたほうがいい」
「笑顔?」
「笑顔。アミティの笑顔がみんなを幸せにしてくれる。だから大切。すまいる。」
ニッと頬に指を当ててシグは笑顔を見せる。
真似して同じようにニッと、アミティも笑った。
「こう?」
「かんぺき。じゃあ休めたしそろそろ次行こー」
「えっ?ちょっと、シグ?・・・うーん、よくわからない誤魔化し方をされた気がするけど・・・
せっかくシグが荷物を持ってくれたんだし、あたしも頑張ろっ!スマイル!」
気休め程度に休んだ二人はまた、サンタの役目を果たすため、街を歩き出す。
夜の三時。深夜。ここまで夜が深くなると、子供はもちろん、
大人すら居らず、どこを歩いても物音一つ聞こえやしない。
強いて言うなら、月の光がほんのりと心地いいだけ。
そんな孤独な道を、二人は寄り添って歩いていた。
「へっくしゅん!」
「アミティ!?」
「だ、だいじょーぶ・・・」
プレゼントの数はあと僅か。もう少しでプレゼント配りもおしまい。あと二、三くらい団地を回れば終わるだろう。
けれど、何時間も真冬の、しかも真夜中の街を歩き続けているのだ。
ずっと歩き続けてきたことによる体力の消耗もあってか、
冷気がじわじわと体力を蝕み続け、身体が堪えていた。
「・・・」
シグは凍える彼女をじっと眺める。
いつもと違う、さくらんぼがついたサンタバージョンの赤ぷよ帽に、暖かそうな真っ赤なサンタ服。
一歩歩くたびにリン、リンと鳴る首の鈴の音色も聞き心地がいい。
いつも以上に、見れば見るほど可愛らしい姿だが、ズボンは短く足をカバーするものはピンクのタイツだけ。
それは寒いに決まってる。そんなことを考えながら、彼はそっと右手を彼女に差し出した。
「手、繋ごう。あたたまる」
「えへへっ、ありがとう♪」
喜んだ彼女は左手の手袋を外し、そして指を絡めて手を繋いだ。
そこまでしなくてもいいのに、と彼はくすくすと笑う。
「指もくっつけた方が温かいでしょ?」
「でもそれ、恋人つなぎ」
「こ、恋人ーーーー!!?」
どうやら彼女自身にその自覚は無かったらしく、突然顔が真っ赤に染まる。
しかし繋いだ手を離すことはなく、むしろますます強く、ぎゅうっと握り締める。
「コイビト・・コイビトの手の繋ぎ方かぁ・・・とっても暖かくて素敵だね~・・・えへへへへ」
照れ笑いを抑えられないまま、何度も繋いだ手の感触を意識して、そのたびに顔が再度紅くなる。
恋というものをよく知らない彼女なれど、
その手のくすぐったさ、特別な暖かさへの緊張、興奮は直感で感じ取っていた。
「どきどき、するね」
「でしょ」
手に神経を向けると、繋いだ手からシグの脈動が僅かに感じられる。
彼の身体の鼓動がまるで直接身体に伝わっているようで、彼女にはそれがちょっと恥ずかしかった。
「でも、嬉しいな。恥ずかしいけど、こうやって、恋人みたいにシグの隣にくっついて。
一緒にお仕事を頑張って、一緒に笑うことができて・・・まるで心が繋がってるみたい」
そんなことを言いながら、無自覚なままにシグとの距離を詰め、肩までぴったりと身を寄せるアミティ。
空いた右手で彼の右腕にきゅっとつかまり、頬をすり寄せ、温まる。
すると今度はさっきとは逆に、シグの右手がアミティの左手をぎゅうっと握り締めた。
「あっ、シグも照れた。珍しいね~」
「これはさすがに恥ずかしい。ほらっ、次の団地が見えたから行こう」
「もうー!照れたからって逃げなくてもいいのに~!」
二人でくっつけば、心も身体もぽっかぽか。さっきまで身体を蝕んでいた寒さなんてもうへっちゃら。
あともう少し!そう自分に言い聞かせながら、二人は夜道を突き進む。
無事全部のプレゼントを配り終えた二人。
二度、三度と白い袋の中身を確認。何も無いのをしっかり確認してから二人仲良くハイタッチ。
一緒にアミティの家に帰ったら、今日はお風呂にも入らずにベッドにダイブ。
布団の中で暖まりながら、一緒にサンタのお仕事の反省会。
「ふぅ・・・やっぱり頑張った後のお布団は気持ちいいや!」
「頑張った」
「シグはサンタさんのお仕事、どうだった?」
「楽しかった。とっても。」
「あたしも。疲れたけど・・・それ以上に楽しくって。
サンタさんを待つ子供たちって、あんな幸せそうな顔で寝るんだなあ、って思った。」
「去年までのアミティもそんな顔でサンタのプレゼントを待ってたのかな」
「シグもでしょ?」
「そうだった。ふふっ、良い子のみんなの笑顔、とってもよかったね」
「うん。つられてあたしも笑顔になっちゃったくらいだもん」
「アミティはもっといい笑顔してた」
「シグもでしょ~?」
「そう?全然気づかなかった」
「とっても優しい顔で笑ってたよー。まるでおとうさんみたいだったよ」
「じゃあアミティはおかあさん?」
「おかあさんって言われると・・・なんだかヘンな気がするよね?」
「「あははははははっ」」
そんなことを言って笑ったり。
けれど何時間も荷物を持って歩き続けた体だ。すぐに睡魔に襲われ瞼が重くなる。
「うう・・・ごめんシグ。もうちょっとお話したいのに眠くなっちゃった・・・」
「寝よっか」
「うん・・・けどその前に・・・」
おもむろに起き上がり、彼女は近くの勉強机から一枚の紙とペンを取り出した。
「何するの?」
「サンタさんに、ありがとうって伝えておきたいな、なんて」
シグもつられて起き上がって、一緒に一枚の紙に『ありがとう』とだけ書く。
それは眠気で少々乱れた字だったが、彼らなりのシンプルで素直な、サンタへの感謝の言葉だった。
「こんなに素敵な想い出をくれたサンタさんに感謝しなくっちゃね」
「きっと今日は今までで一番楽しい日だったと思う。ずっと覚えていたい」
「始めは少し緊張したけど、みんなの笑顔をいっぱい見て、あたしもいっぱい笑顔をもらって・・・」
「寝ている子供たち、プレゼントをそばに置くとちょっと笑ったように見えた」
「気のせいかなって思ってたけど・・やっぱりシグもそう見えたんだね」
「きっと気のせいじゃない」
「寝ててもわかるものなのかなぁ・・・。
それにね、シグの笑顔も沢山見れたのも、とっても嬉しかったの」
「そう??」
「だってあんなに笑顔いっぱいで、やる気を出して一生懸命がんばるシグ、めったに見ないもん・・・
今まで見た中で一番楽しそうで、頑張ってたと思うよ?」
「そうか・・でもアミティも、今までで一番笑ってた」
「やっぱり?いろんな人から幸せにしてもらったからかなあ。
けど、こんなに幸せにもらったから、頑張らなきゃって責任感もあった。
あたし、シグが居なかったら、きっと今頃くじけてたよ・・・一緒に居てくれてありがとう。
そして素敵な想い出を一緒に作ってくれてありがとう、シグ!」
「どういたしまして。アミティも、いっぱい笑顔を見せてくれてありがと。おかげで沢山頑張れた。
きっと今日はずっと忘れられない想い出になると思う」
「えへへへっ、どういたしまして」
話せば話すほど、笑顔が溢れて止まらない。
けれどそうやってずっと目を細めていると、また眠くなってくる。
しばらくシグが欠伸を漏らすと、「寝よっか」と言いながらアミティは布団の奥にさらに潜り込んだ。
「みんなの願い・・・ちゃんと届けることができて、本当によかった・・」
「朝目覚めたら、みんなきっと喜ぶ」
「笑顔に溢れるプリンプタウンを見るのがとっても楽しみだなぁ・・」
「笑顔の街・・・・そう言われたら、早く朝を見たくなってきた。寝よう」
「うん。おやすみ、シグ。・・それと、メリークリスマス」
「アミティもおやすみ。メリークリスマス」
最後にくすっと笑って、二人はゆっくりと、深い眠りについた。
おしまい