明け空の展望台

ヤフブロより移転。ぷよの二次創作ゲームを作る者です。よろしくお願いいたします。

別れ話 シグアミ

 
注意
・やっぱりクオリティかなり低い・途中からgdgd
・ハートフルのつもり(失敗)
・オチなし
・ちょっと成長したシグアミ設定。16歳くらい?
 
以上のことに留意できる方は、先にお進みください。


 
 
 
 
秋の11月。少し肌寒い日。
 
 
二人がいつも通りに、手を繋いで歩いていた時のことだった。
 
 
木々からは落ち葉が剥がれ落ち、哀愁漂う並木道の中。
 
 
繋いでいた手を突然離して少し前に出て彼女の眼前に立つ。
 
 
じっとこちらを見据えながらも、どこか寂しそうな彼の瞳。
 
 
「どうしたの?」と言おうとした瞬間、「アミティ、」と彼女の名を小さく発する声に遮られ、
 
 
それは突然告げられた。
 
 
 
 
「別れよう。」
 
 
 
 
 
 
アミティ「え・・・・?
 
 
 
彼女はそのあまりに唐突、そして信じることのできない言葉に一瞬ぴたりと思考が止まる。
 
 
そして、理解もできないまま彼に尋ねた。
 
 
 
 
 
アミティ「あ、あたし・・・シグに悪いことしちゃったの?
 
 
シグ「ううん、そうじゃない。
 
 
アミティ「だったら・・・どうして、
 
 
シグ「見て。この手。
 
 
 
 
 
シグは左手をアミティに向けた。
 
 
その左手は相変わらず紅く、大きく、硬く、そして冷たい。
 
 
最近は多少魔力を感じるようになったが特に大きな違いはなく、見慣れたものだ。
 
 
 
 
アミティ「・・・手?
 
 
 
 
きょとんとしていると、突然彼の左手から紅黒いオーラがあふれ出す。
 
 
そのオーラは、いつの日かアルカ遺跡で死闘した、
 
 
紅色のクルークが持っていたものそっくりであることを、彼女はすぐに気づく。
 
 
 
 
 
アミティ「どうしたの、その手・・・
 
 
シグ「あまり見せたくはなかったけど・・・これ以上は我慢できない。
 
 
アミティ「へんな時のクルークと似たオーラだよね
 
 
シグ「うん。少しずつだけど、左手の力が強くなってきてる。
 
 
アミティ「大丈夫なの?
 
 
シグ「うん。腕は、ね。
 
 
アミティ「体の調子が悪いの?
 
 
シグ「違う。そっちじゃない。
 
 
アミティ「じゃあ・・・
 
 
シグ「うん。一番深刻なのは、心。
 
 
 
 
シグは一瞬自分の心臓を指差し、俯いた。
 
 
 
シグ「よくは分からない。けど、少しずつ自分の気持ちがおかしくなってきてる。
   この手の力が溢れ始めてから、おかしな考えになるんだ。
   誰かがすぐ近くに居たら急にその居る人を傷つけたくなって、
   一度そう考えたらほかの事を考えられなくなっちゃう。
 
 
アミティ「それって、もしかして・・・
 
 
シグ「うん。アミティも同じ。
   さっきも、繋いでた手を傷つけたい、なんて考えが頭の中で一杯だった。
   ・・・むしろ、アミティと一緒に居るときが一番危ない。
 
 
 
アミティは何もできず、ただ罪悪感がこみ上げていた。
 
 
 
 
アミティ「ごめん・・・
 
 
シグ「ううん。アミティは悪くない。
   けど、このまま一緒に居たら、きっとアミティを傷つける。不幸にしちゃう。
   だから・・・もう、終わりにしたい。
 
 
アミティ「・・・
 
 
 
 
アミティは俯いて、黙っていた。
 
 
 
シグ「きっと、これが僕の本性。酷いとか、醜いって思うかもしれない。
   けど、それで嫌いになるのも、仕方ないと思う。
 
 
アミティ「そんなこと・・・
 
 
シグ「アミティのことは傷つけたくない。だから・・・もう一緒には居られない。
 
 
アミティ「いわないで・・・
 
 
シグ「アミティにはもっと、いろんな楽しみとか、幸せがあるよ。
   だから僕から離れて、新しいものとか
 
 
アミティ「だめぇっ!
 
 
 
堪えられなくなり、アミティはシグに抱きつく。
 
 
 
シグ「近づいちゃだめ・・・傷つけちゃう・・・・
 
 
 
シグも彼女の背中に腕を回すが、その腕はとてつもなく震えている。
 
 
 
アミティ「シグは・・あたしのこと、嫌いなの?
     何か悪いことをしたなら教えて?あたし、シグが嫌なことはしないから・・・
 
 
シグ「アミティは悪くない
 
 
アミティ「だったらそんなこと言わないで・・寂しいよ・・・・・
 
 
シグ「アミティ・・離れて・・・
 
 
 
彼は荒い息を吐いていた。彼が心の奥で衝動を堪えていることは言うまでもなく分かる。
 
 
言うとおり、離れなければアミティが傷つくのは容易にわかることだった。
 
 
それでも、彼女は離れることはできなかった。
 
 
 
アミティ「やだ!離れたくない!
 
 
シグ「アミティが怪我しちゃう・・
 
 
アミティ「怪我なんていいもん!
     シグと一緒に居られなくなるのが・・あたしはもっと怖いの・・・
 
 
 
アミティはシグの胸に顔をうずめ、震えながら話す。
 
 
 
シグ「だめだよ、アミティ・・
 
 
 
じわり、と音がする。アミティを抱きしめていたシグの左手は、
 
 
知らぬ間に彼女の背中に食い込み、その接点からは血が溢れ出ていた。
 
 
 
アミティ「ね、シグ・・・・
     あたしはね、シグの優しい性格、好きだよ。
     ちょっとマイペースでいつも穏やかで、
     でも、それでもあたしのことをいつも気にかけてる。
 
 
シグ「・・・ッ・・ハァッ・・・・・
 
 
 
 
平気そうに話すアミティだが、
 
 
彼女が話す間にも、爪は少しずつだが彼女の背中に食い込んでいく。
 
 
当然平気で居られるわけでもない。しかし、痛みさえも、今はどうでもよかった。
 
 
 
 
アミティ「今だって、あたしのことを心配してくれてるのも、すっごく感じる。
     キミは、いつもあたしに幸せをたくさんくれてる。
     ・・・けど、ね。だからこそ、あたしにもシグに、恩返しさせて。
 
 
シグ「アミ・・・ティ・・・・
 
 
アミティ「あたしも、たまにはシグの力になりたいの・・・
     役に立てないかもしれないけど、それでも、シグのために頑張りたい。
     あたしだけ幸せで、キミだけ幸せにならないのはずるいよ。
     ・・・それにね。
 
 
彼女は一歩下がって、彼の紅い左手を両手で持った。
 
 
アミティ「シグの左手のことを知ってから、このくらいのことは覚悟してたんだよ?
     そうじゃなきゃ、あたしは今頃シグと一緒に居たりしないんだからね?
 
 
 
 
彼女はシグの左手をやさしく包み込む。すると、不思議なことに彼の手の震えはすぐに収まった。
 
 
同時に、彼の衝動も収まった。
 
 
 
 
シグ「あれ、なんだか落ち着いた・・・
 
 
アミティ「あたしでもよくわからないけど・・・なんとなくやってみたら、できた!
 
 
シグ「なにそれー
 
 
アミティ「わかんない!
 
 
 
 
気づいたころには二人は笑顔。
 
 
ついさっき負った爪の傷なんか、きれいさっぱり忘れていた。
 
 
 
 
シグ「・・・さっきはごめんね
 
 
アミティ「別に気にしないでいいってば!シグが元に戻ってくれただけで、あたしは嬉しいんだよ!
 
 
シグ「背中、大丈夫?結構爪が食い込んでたと思うんだけど
 
 
 
 
シグがふと自分の左手を見ると、爪の先端7,8cmには彼女の血。
 
 
傷も深いはずだから病院にでも行ったほうがよさそうだ。
 
 
彼女はケロッとした顔をしているが、いろいろ平気ではなさそうだ。
 
 
 
 
アミティ「ちょっときついかもしれないね。この服はもう使えなさそうだし、
     まずは新しい服から買わないと。
 
 
シグ「背中は?
 
 
アミティ「平気だけど、お風呂のお湯がすごくしみて痛そう・・・
     ねえシグ、今日泊まっていい?
 
 
シグ「いいけど、どうするの?
 
 
アミティ「背中に包帯巻いたりとか、あと、背中のマッサージとかしてほしいから・・・
     いいよね?
 
 
シグ「もちろん
 
 
アミティ「そうと決まれば、さ、帰ろっ!
 
 
シグ「うん・・・!
 
 
 
 
 
肌寒い日。手を引っ張って走る彼女は、彼にはどこか暖かく、そして優しく感じられた。
 
 
彼は一瞬、ついさっきまで自分を悩ませていたその紅い手を見て、フフッと笑った。
 
 
そんなとある1日。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
終わり