明け空の展望台

ヤフブロより移転。ぷよの二次創作ゲームを作る者です。よろしくお願いいたします。

金環日食 シグアミ

注意
・大人シグアミです(でか変身のシグアミって言えば想像つくかな)
・内容バレバレw
・ちなみに茶色嵐の地域ではただの部分日食(関係ねぇ
・視点は途中までシグ視点、途中からアミティ視点に変わります。
 
 
 
では、どうぞ!
 
 
 


 
5月21日 早朝
 
 
 
 
「しーぐっ。ねえってば。」
 
「んー・・・ねむーーい・・・・」
 
 
 
 
ダメだ、目が開かない・・・・
 
まだ周りも暗そうだし、いくらキミの頼みだからと言ってもおきられないよ・・・
 
あと3時間は寝かせて・・・
 
 
 
「もっとねかせてー・・・」
 
「だめだよ・・・金環日食、一緒に見なくてもいいの?」
 
「きん・・・か・・・ん・・に・・・・しょくー?・・・・あっ」
 
 
 
僕はその一言ではっと目を覚ました。
 
 
 
「おはよう、シグ。」
 
 
 
目を覚ますと、正面にアミティの、優しくも大人びた、美しいような笑顔が見えた。
 
 
 
「んー・・・おは、よう・・ふあぁぁぁぁ。」
 
 
 
なんとなく返事をしたあと、僕は大きなあくびをした。
 
 
 
「そういえばなんでここにいるの?」
 
 
 
ふと思ってアミティにたずねた。
 
よくよく考えてみれば、どうしてアミティがここに来てるんだろう。
 
同居なんてまだしてないし。
 
 
 
「ほら、さっきも言ったでしょ。金環日食。」
 
「あ、そっか。」
 
「待ってても来なかったら困るから、一応来ておこうかな?なんて思ってたの。」
 
 
 
 
そうだった。金環日食か。数十秒前に言われたことなのに忘れてた・・
 
 
 
 
「ご飯はあたしが作っておいたから、一緒に食べよう?」
 
「うん、・・・ありがとう。」
 
 
 
 
僕が寝てる間に作ってくれてたんだ・・・とっても嬉しい。
 
その後、なんとか起きて、アミティが作ってくれた朝ご飯を頂いた。
 
とっても美味しかった。
 
 
 
 
「シグ、今何時・・?」
 
「え~っと・・・6時40分くらいだね。」
 
「えっ、大変だよ!もう少しで日食始まっちゃう!行こう!」
 
「ごめん 着替えさせて」
 
「えーっ!急いでよね!」
 
 
 
いつもはあんなせっかちじゃないのに・・・金環日食、そんなに楽しみなのかな。
 
ちょっと気になったけど、待たせすぎるのもかわいそうだし、できる限り早く着替えた。
 
 
 
「着替えてきたよー」
 
「よし、行こうっ!」
 
 
 
アミティは僕に笑顔を見せ、手をとり、一緒に家を飛び出した。
 
・・・アミティの手、やっぱり暖かいや。
 
 
 

 
 
「はぁ・・・はぁっ・・・」
 
 
うぅ・・・ちょっと焦ってたかな・・・
 
走りすぎて疲れた・・・
 
 
 
「アミティー、どこ行くの?もう10分も走ってるけど・・・」
 
「もうちょっとだよ・・!」
 
 
 
そう、もうちょっと・・・
 
もう少し走れば・・
 
あたしはふと太陽を見た。
 
よくみる少し欠けてる。
 
 
 
「いっけない・・・もう日食始まってるよ・・急ぐよ!」
 
「わかった」
 
 
 
あたしは全速力で突っ走った。
 
 
 
しばらくすると、広い岬が到着した。ここがあたしの目的地。ここなら日食が見えるから。
 
 
「つ・・・着いた・・・!」
 
 
 
到着すると、あたしは疲れ果てて草原に座り込んだ。
 
 
 
「大丈夫?」
 
「うん・・・なんとか・・」
 
 
ふと空を見た。太陽はもう半分近く欠けている。
 
 
 
「けど、始まっちゃったね・・・日食。」
 
「大丈夫だよ。まだメインの金環日食は始まってないから。これから楽しもう。ね?」
 
「ありがとう。」
 
 
 
シグは時々、とっても優しい一面を見せてくれる。
 
そんな彼が、あたしは大好き。
 
 
 
太陽が少しずつ隠れ、辺りは少しずつ暗くなる。
 
そのときにシグは何を思ってたのかよくわからなかったけど、
 
あたしは少しずつ胸の鼓動が強まっていく感覚がした。
 
 
 
そして何分待っただろう。
 
ついに太陽が月に隠され、金環日食が始まった。
 
周囲が夜のように暗くなり、太陽は月により黄金のリングのように輝く。
 
それは美しく、神秘的な光景で、あたしはそれに見とれていた。
 
 
 
「綺麗だね・・・」
 
「うん・・」
 
 
 
突然、左手に暖かい感触が伝わった。
 
ふと左手を見ると、シグがあたしの手を握っていた。
 
嬉しくて、静かに、ちょっとだけ握り返した。
 
あたしは、この幸せな時間がいつまでも続いて欲しい、そう願った。
 
 
 
 
 
 
けれど、時は動き続ける。
 
あっという間に金環日食も終わっちゃった。
 
 
 
「はぁ・・終わっちゃったね。金環日食。」
 
「そうだね。けどとっても綺麗だった。」
 
「もう少し長かったらよかったのにね・・・」
 
「・・・アミティ。」
 
「ほぇ?」
 
金環日食、あげる。」
 
 
 
金環日食をくれるって、どういうことなんだろう・・・
 
 
 
「えっ、どういうこと・・」
 
「目を瞑って、左手を出して?」
 
「あ、うん・・・わかった・・・」
 
 
 
あたしはシグの言うとおり、左手を出して目を閉じた。
 
その直後、左手の指にに冷たい感触が走った。
 
ついビクッと身体を震わせてしまう。
 
 
 
 
 
「もう目を開けてもいいよ」
 
 
シグに言われて目を開き、左手を見ると、薬指に指輪がはめこまれていた。
 
その綺麗な金色の指輪は、金環日食に見た金色のリングとそっくりだった。
 
 
 
「シグ、これって・・・・」
 
「うん。僕、よく言えないけど、アミティのこと・・大好きだよ。だから・・・結婚して。」
 
「!!」
 
 
 
 
とっても嬉しい。けどどうしよう。
 
頬が熱い。胸の鼓動が早くなる。全身が今にも震えてしまいそう。
 
けど、気持ちは伝えないと。
 
そう思って、あたしは答えをシグに話した。
 
 
 
 
「わかった・・・あたし、シグと結婚する。」
 
「いいの?」
 
「もちろんだよ。あたし、この思い出、ずっと忘れないよ。」
 
「ありがとう・・・」
 
 
 
そのすぐ後、シグがあたしのこと、抱きしめてくれた。
 
シグの体は男の子の中ではちょっと細身だけど、それでもしっかりした男の子の体で、
 
背も高くて、暖かくて、そして心強くて、とっても安心できるの。思わずうっとりしちゃう。
 
 
 
 
「ねえアミティ・・・」
 
「なぁに?」
 
「キスしてもいい?」
 
「うん・・・いいよ・・・」
 
 
 
そしてあたしとシグは、日食の終わりに、陽と月に誓うように、深い深いキスを交わした。
 
 
 
 
 
 
 
シグ、あたしたち、ずっとずっと、一緒だよ。
 
これからいっぱい素敵な思い出を作って、あたしのことを幸せで包んでね・・・
 
 
 
 
終わり