安定の低クオリティ。勢い任せなので推敲すらしていない。
それはある昼下がり、居間の寝椅子に転がる二人の小さなお話。
「もしもだよ、シグ」
微睡みを誘う陽よりも明るい金髪の少女は、晴れた空よりも蒼い水色の少年に素朴な問を投げかけた。
「もしもあたしたちがきょうだいだったとしたら、どっちがお兄ちゃんかお姉ちゃんなんだろう?」
「急にどうしたの」
シグは特に興味を持たぬ様子で髪をひょこひょこ揺らす。
「この前アルルにシグとあたしのことをきょうだいみたいって言われてたのがなんとなく気になって……」
「ふーん?」
「シグはどう思う?」
「誕生日が早いのはアミティだから普通に考えたらアミティがお姉ちゃんなんだろうけど……」
シグに見つめられ、思わずアミティは「どうしたの?」と笑顔で返す。
その笑顔を見たシグは「やっぱり」と呟きながら言葉を続けた。
「……やっぱりアミティはお姉ちゃんよりも妹だ」
「そう?よくわからないけどシグが言うのならそうなのかなぁ。それならシグがお兄ちゃんだね!」
「おにいちゃん……あははっ」
「おかしい?」
「別に。照れくさいだけ」
言われ慣れない呼び方のせいか、それとも嬉しかったのか。
シグはくすくす笑っていた。
「シグがお兄ちゃん、かぁ…。いいかも。シグって好きなものには優しくて面倒見も良いもん」
「アミティが妹ならきっと、毎日がとっても明るくて楽しくなる」
「でしょ?あたし、時々シグと本物の兄妹になってみたいなって思うことがあるんだ。
きっといっぱい仲良しになれるよね!」
「うーん……でもそれは困る」
「うそ!?」
どうやら相当予想外な答えだったらしく、
アミティはショックで半分涙目の状態になりながら「どうして?」と尋ねた。すると、
「本物の兄妹だと、アミティをお嫁さんにできない」
そう答えるシグの表情は、白昼の微睡みにさらされたせいか恥じらいのせいなのか少し紅いように見えた。
それを聞いたアミティも自分が嫌われていたわけではなかったのかとほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、
その言葉の意味を理解するにつれてだんだんと頬が熱く紅くなり、そのままソファに顔をうずめてしまった。
「急にそんなこと言われたら恥ずかしいよ……」
「嫌?」
「そうじゃなくって……そりゃあもちろん嬉しいけど。うぅ~~」
「そうか。嬉しいならこっちも嬉しい」
やや意地悪気味にくすくすと笑うシグは顔を伏せたままのアミティの髪の毛を楽しそうにいじりつつ、
こう言の葉を続けた。
「……うーん、でもやっぱり兄妹も、悪くないかも」
「そうでしょそうでしょ?」
「1日だけなら、なってみたい。なんて」
「あっ、いいねそれ!」
「ん?」
シグの特に何も考えずに出た言葉にアミティはきらきらと目を輝かせている。
「……そんなに、やりたい?」
うんうん、と全力で首を上下に振る。
「じゃあ、試してみよっか。もちろん今日だけで」
「やったー!えへへ、シグがお兄ちゃんかぁ……」
アミティの喜びようは狭いソファをごろごろ回転するその様子から容易に理解できた。
その様子にシグも満更でもない気分で笑う。
「でもお兄ちゃんだから少し威張るかも」
「いいもん、あたしは妹らしくいっぱい甘えちゃうんだからね、おにいちゃんっ!」
「あははっ、困った妹だ」
少しだけ傾いた太陽が二人を暖かく輝かしく照らす。
二人の長く楽しい兄妹ごっこはまだまだ始まったばかりだ。
おしまい