明け空の展望台

ヤフブロより移転。ぷよの二次創作ゲームを作る者です。よろしくお願いいたします。

ぬいぐるみ好き シェアル的な何か

注意
・シェアル前提だけどシェゾは居ません
・山なしオチなし意味なしの怪文書

ぷよクエのBLEACHコラボ2話で思いついた何か。




遠くからトタタタ、と聞きなれた足音。


「アルルー!ちょっと教えてほしいことがあるんだけどー!」


アミティだ。

ときどきアミティはボクのところを訪ねてくることがある。

教えてほしいこと、というと大体学校の問題とか、魔導のことがほとんどなんだけど……

今回の疑問は、予想のだいぶ斜め上だった。


「シェゾってぬいぐるみ集めが趣味なの!?」

「……えっ?」





落ち着いてアミティの話を聞いてみると、

どうやらこの前シェゾがライオンっぽいぬいぐるみ的な生き物を追い掛け回していたのを見かけたらしい。

想像するだけでシュールな光景である。


「はぁ。シェゾがそんなことを。
 シェゾが魔力目当てで何かを追い回すのは慣れた光景だけど
 そういうのを追いかけてた覚えはないなあ……」

「そうなんだ……うーん、どうしちゃったんだろ?」


考える。あまりに心当たりがない。彼に何かあったのだろうか。


「アミティ。そのぬいぐるみって魔力があるものとかだったりしない?」

「どうだろう……喋るぬいぐるみみたいなものだからもしかしたら魔力があるかもしれないけど、
 でも魔力目当てって雰囲気はなかった気がするんだよね……?」


ということは、純粋な趣味ということだろうか。あのシェゾが?ぬいぐるみを?


「……はっ」


いや、待った。いつぞやに似たような出来事があった気がする。

あれはいつだっただろうか。森でちょうどアミティの言ってたような感じで

シェゾがどんぐりガエルを追いかけてたことがあったような気がする。ついでにおにおんも。

つまりそれは。


「単純に可愛いものが好き……ということ」

「へぇ、シェゾってそうだったんだ。なんだか意外な趣味だね」

「うぅん、シェゾにそんな趣味があった覚えは……」

「アルルの知ってるシェゾは違うんだ?」

「少なくとも、シェゾがプリンプに来るまではそんなこと無かったはず」

「それならなんで最近になって可愛いもの好きになったんだろうね?」

「うーん、心当たりないなぁ……」


確かになんでそうなってしまったのかは気になる。

よりにもよってそんな女子力の塊みたいな趣味が芽生えるだなんて、

何かあったとしか考えようが無い。

この世界に来る際に頭でも打ったのだろうか?

いや、最初の頃はそんな変な感じはなかったしそれはないはず。

ではホームレスで洞窟住まいしてたせいで気が病んでしまったのだろうか?

違う。なんだかんだでシェゾはあんな場所でもベッドなんか敷いて快適スローライフを満喫していた。

ついでにボクも人のこと言えないけど大丈夫だし、彼に限ってそれもないだろう。

となると、他の可能性は……


「あんまりあたしたちがヘンタイって言いすぎちゃったのが悪かったのかな……」

「えっ、まさか」


アミティの言葉を遮ろうとしてみたけど、何か納得が行ってしまった気がした。

正直、大方の知人たちにはヘンタイの通り名で通ってる。多分シェゾって言う本名よりも。

本人はあんまり気にしてはなさそうだったけど、

罵声を浴び続けた人間が精神を病むのと同じような要領で、

ヘンタイと言われ続けた闇の魔導師が無意識のうちに本当にヘンタイになりつつある、

……ということも、あるのかもしれない。



「ううん、さすがにあたしの気のせいだよね」

「う、うん。多分ちょっと風変わりなだけの新しい趣味か何かだと思うしアミティは気にしなくて良いと思うよ」

「今度可愛いぬいぐるみをプレゼントしてみよっと!ありがとう、アルル!」



すたたた、とアミティが走り去っていく。

笑ってごまかしてはみたけど、正直、ボクたちは揃いも揃ってヘンタイヘンタイと当たり前のように呼んでいた。

もしもそのせいで彼が道を踏み外そうとしているのだとしたら……


「うん。」


今度から暫くは、ヘンタイと言うのはやめておいてあげよう。



おしまい






おまけ


「アルル、お前……が、欲しい!」

「……」

「ああっ、また言い間違え……ってなんだ!その可哀想なものを見る目は!?」

「いや、ボクも今までの行いを改めよう、ってね」

「くそっ、いつものツッコミがないとミルク抜きカフェオーレのように調子が狂う……!」

「(ヘンタイって呼ばれるのに順応しちゃってる……
  やっぱり本当におかしくなりかけてるんじゃ……)」

「何故割れ物を見るような目でオレを見る!おい!聞いてるのかアルル!」



今度こそおしまい